劇は生き物である
劇は生き物である。
毎日同じ台詞を喋り
毎日同じ音楽を演奏し
毎日同じ演者が登場、
毎日同じ受付係の劇場で
毎回違う答えが出る。
これは非常に面白い。
だってそれは生きているということとほぼ同意義なのだ。
服を着て、髪を整えて、息をしながら人前に出て行く。
そこに存在しているだけで意味があるのに、その意味を深く考えろと急かすことなくそこに在ること。
これが生きているということでなければなんだというのだ。
劇は生き物である。
立派な生き物である。
ドラゴンよりも形がなく
魔法よりもリアルで
そこに生命が流れている
生き物であった。