ソロモンの戯言

僕が誰かということじゃなく君がどう生きているかに寄り添いたい

ほわっとする話2017

ちょっと前に書き留めて置いたお話。

 

**************************************

ピンクのものは、恋愛の運気を高めてくれる…ついこの間そんな記事を読んだ単純なわたしは、ピンクの折り紙で鶴を折って、財布の中に忍ばせておくことにした。

持ち歩くのに1番便利かなと、なんとなく思ったからであった。


昨日の午後、寒風に吹かれながらチケット売り場に並んでいたときのことだ。

わたしの後ろにお父さんと手を引かれた小さな女の子が立った。女の子のどうしてこの人はここにいるのかな、という視線を感じ思わずくすりと笑ってしまった。

にやりと笑って少女を見ると、恥ずかしそうだが口元に笑みが浮かんでいる。

それはなんというか、遅々として進まない列に嫌気がさしかけていたときにふわっと、わたしの心を温めたのであった。

 

おもむろにカバンを探って財布を出すとそこには願いを掛けた折り鶴が畳まれていた。

迷うことなくわたしはそいつを取り出して、翼を広げて彼女の小さな顔の前に差し出した。案の定、わぁっという驚きと喜びを含んだ顔が広がってくれる。

どうぞ、と言ったら小さな手でそれを受け取って、まじまじと見つめている。後ろからお父さんが、ありがとうって言いなさいと優しく声をかけた。

 

わたしはきっと、こういうやつなのだ。

パートナーが欲しい、相手が欲しいとか言いながら、願掛けのようなこともしてるくせに、結局は目の前のことが大切になってしまう。今わたしの心を温めてくれた子に、何かを返したくなる。喜んでる顔とか驚いた顔とか、そういうのが見たくてたまらなくなる。

先のことなんて上手に考えて動けるような、そんな人じゃないんだなぁと昨日チケットを握りしめて帰る道すがらにそんなことを思った。久しぶりの試合、一足早い自分へのクリスマスプレゼントである。

 

********************************************************************************

 

ふふふ。