あの夏の暑さは尋常じゃなく僕たちは野原でそれを存分に浴びるほかなく、
あつはなつい!
そう言った奴がいた。
もちろんそれは、夏は暑い、の言い間違いだったのだが
その時の暑さは尋常ではなく
そこにいた我々の誰もがその
ボケとも本気ともつかないような言葉に突っ込んだり動揺したりする気力さえも失せてしまっていた。
暑さには色々な種類があるが
そのときの暑さは何というか
今この目の前に砂漠とラクダとオアシスが現れたって
我々は信じたに違いない、
それくらいのものであった。
「あー…」と、3分おきに誰かしらが呻いた。あ、というよりは、あ゛というような音であった。
それはきっと、これから何する?というような意味でもあったし
暑く何もする気がおきねぇという意思表示に近いものでもあったし
はたまた、あーとしか言えないというような敗北宣言にも近いものがあった。